鳥は飛ぶと前向きな気持ちになる

調査に当たってはまず17羽のモモイロインコを対象に、「飛べた日」と「飛べなかった日」を意図的に用意し、鳥たちに見られる15種類の行動がこの2つの日でどう変わるか調べられました。
結果、飛べた日と飛べなかった日で15種類のうち3つに変化が現れました。
1つ目は、頭の羽を立てる回数。
2つ目は、頭を掻く回数。
3つ目が、エサを探す行動でした。
1つ目の、頭の羽を持ち上げるあの動作は「テンションが上がっている」サインとされています。
ただこの動作は嬉しくても、腹が立っていても出ます。
ところが今回は、そこを切り分ける材料がありました。観察期間中、鳥どうしの争いはほとんど記録されていないのです。喧嘩がないのに冠羽が立ち、しかもそれが飛行の直後に集中していたのです。
そのため研究者たちは、頭の羽を持ち上げる頻度の増加は、飛行による前向きな興奮によるものだと考えました。
2つ目の頭を掻く回数は、判断が割れました。
落ち着いている証拠とも、逆にストレスの表れとも読めますし、そもそも飛んで羽が乱れたので整えていただけかもしれません。今回は切り分けられませんでした。
しかし3つ目のエサを探す行動ははっきりした手掛かりがみられました。
飛んだあとの鳥は、地面をつついて種を探す時間が明らかに長くなっていたのです。
空腹のせいではありません。この実験では、飛んでも飛ばなくても、直後に同じ食事がたっぷり出ます。つまり彼らは、満腹のまま種を探していたことになります。
これは腹の話ではなく、余裕の話です。
人間でいえば、夕食を終えたあとに、なんとなく棚を拭いたり、明日の支度をしたりする、あの時間に近いかもしれません。やらなくても困らないし、切羽詰まった日にはまず最初にやらなくなる種類の行動です。
動物行動学でも、同じことが知られています。環境が悪化すると、動物はその種本来のふるまいをしなくなっていくのです。地面をほじくって種を取り出すのは、モモイロインコの暮らしの中核。それが増えたということは、少なくともそれを抑え込むものが何もなかった、ということになります。
ご褒美がなくても、鳥はほぼ100%の機会で飛ぶ。
飛んだあとは、前向きな興奮のサインが出る。
そして、余裕のあるふるまいが増える。
どちらも、飛ぶことが前向きな気持ちと結びついている可能性を示す手がかりです。
ですが今回研究者たちは「自分から飛ぶ」という選択と、その後の心の状態を「楽観と悲観」というもう1つの尺度で調べることにしました。
































