街のなかに、依存は何人いたのか

写真に写った自分の顔を見て、あれ、と思ったことはありませんか。
普段は自分の顔なんて意識していないのに、写真に写った瞬間だけは、目が勝手にあの一点へ行く。目尻の線。あごのライン。「ここ、ちょっと気になるな」。
その気持ちは、たぶん誰の中にもあります。
そして今は、それに応えてくれる場所が、驚くほど近くにあります。切らずに済む注射なら、昼休みに寄って、その日のうちに職場へ戻れてしまいます。
こうした美容施術の幅広い利用は、2019年から2023年にかけて、世界でおよそ40%増えました。
これだけ増えれば、現場の空気も変わります。
美容クリニックなどの現場で、心の専門家たちは、ある時期から奇妙な影に気づきはじめました。一部の人が、どう見ても依存のように見える状況に陥っていたのです。
2021年、アメリカの研究者たちが薬物依存を診断するための問診票を持ってきて、そこに書かれた「薬物」という単語を、そっくり「美容施術」に置き換えたものを作りました。
そしてその問診票を、美容皮膚科クリニックを訪れた人たちに答えてもらったのです。
すると、6.6%が中程度から重度の依存リスクに該当することがわかりました。
しかしクリニックにいるのは、すでに自分で美容施術のためのドアを開けて入ってきた人たちです。
つまりわかったのは「クリニックに来た人のなかに、依存に似た状態の人がいるらしい」ということでした。
しかし、電車で隣に座っている人、職場のフロアですれ違う人――あの人たちのなかに何人いるのかは、十分には調べられていませんでした。
そこで今回研究チームは、その問診票を街に持ち出すことにしました。
調査に当たっては、イスラエルの1614人の成人女性たちが集められ問診票に答えてもらいました。
この集め方には工夫がされており、年齢や信仰のあり方などが、イスラエルに住むユダヤ系の成人女性の、いわば縮小版になるように調節がなされていました。
すると、全体(1614人)のうち、過去1年で6.8%が中程度から重度の依存リスクの線を越えていることがわかりました。
過去にイスラエルの女性を対象にした別の調査では、ギャンブル依存が2.6%、ゲーム依存が2.9%であることが報告されています。
この結果は美容施術に対する依存が、すでに社会が「これは危ない」と認めている二つの、倍以上の率に達している可能性を示しています。
さらに過去に施術を受けたことのある人(710人)に限ると、中程度から重度の依存リスクの線を越えている人の割合は20%にまで達することがわかりました。
しかし、何が彼女たちをそこまで駆り立てていたのでしょうか?






























