カリウムを増やすと、なぜ血圧にいいのか?
その理由を理解する鍵になるのが、腎臓の働きです。
腎臓は尿を作りながら、体内にどれだけナトリウムやカリウムを残すかを細かく調節しています。
そして私たちの体には、カリウムが不足すると、それをできるだけ体内に残そうとする仕組みがあります。
これは「腎臓のカリウムスイッチ」と呼ばれる仕組みです。
人類が現在ほど塩分の多い食品を食べていなかった時代には、貴重なカリウムを失わないために役立つ仕組みだったと考えられています。
しかし現代では、ナトリウムを多く摂り、カリウムをあまり摂らない食生活が珍しくありません。
するとこの仕組みがナトリウムを体内に保持する方向にも働き、結果として血圧を上げやすくする可能性があります。
カリウムを十分に摂ることは、こうした状態を改善し、ナトリウムを尿から排出しやすくする方向に働くと考えられています。
実際、中国で行われた大規模研究では、普通の食塩の一部を塩化カリウムに置き換えた代替塩を使った人々で、血圧だけでなく心血管イベントも減少しました。
その効果については、「ナトリウムを減らしたこと」に加えて「カリウムを増やしたこと」も重要だった可能性があります。
そこで著者らは、食品メーカーが単純にナトリウム量だけを見るのではなく、ナトリウムとカリウムのバランスも考えて食品を設計することを提案しています。
また、野菜や果物などカリウムを多く含む食品を摂りやすくする社会的な取り組みも重要だとしています。
ただし、これは「カリウムを大量に摂ればいい」という意味ではありません。
進行した腎臓病がある人や特定の薬を使用している人では、カリウムを摂りすぎることが危険になる場合もあります。
また今回の論文は新しい臨床試験ではなく、これまでに蓄積された研究結果をもとに、公衆衛生の方向性を提案した見解論文です。
それでも今回の議論は、高血圧対策の考え方を少し変えるものかもしれません。
これまでの合言葉は「塩分を減らす」でした。
しかしこれからは、「ナトリウムを減らし、カリウムを増やす」という両方の視点から食生活を考えることが、より現実的な高血圧対策になるのかもしれません。































