「あの人のようになりたい」が現実の自分を成長させる
ただし、空想という言葉にはあまり良いイメージを持たない人もいるでしょう。
確かに空想が現実逃避に使われることはあります。
現実の問題から目をそらし、「いつか理想の自分になれる」と想像するだけで何も行動しなければ、かえって成長を妨げる可能性もあります。
しかし重要なのは、「空想すること」そのものではなく、空想と現実との関係です。
たとえば医学部を目指している高校生が、将来自分が白衣を着いて働く姿を想像したとします。
若い研究者が、いつか国際学会の壇上に立つ自分を思い描く場合もあります。
これらは現実から逃げていることを意味しません。
むしろ未来の自分を想像することで、「そこへ近づくために今何をすればいいのか」が見えてくることがあります。
恋愛感情にも同じことが起こりえます。
たとえば、新入社員が、尊敬する先輩に好意を抱いたとします。
その関係が実際の恋愛に発展することは、職業倫理上の境界などから適切ではない場合があります。
しかし、恋心そのものまで無意味になるわけではありません。
「あの人のようになりたい」と思ったことで仕事に力が入るかもしれません。
あるいは「自分は知的な人に惹かれるのだ」「こういう生き方を尊敬しているのだ」と、自分自身の価値観に気づくこともあります。
つまり、相手を手に入れることだけが恋の結果ではないのです。
手の届かない相手への憧れによって、まだ存在していない「未来の自分」が見えてくる場合があります。
空想が現実から人を遠ざけるのではなく、現実が進む方向を与えているのです。

































