恐竜の陰に隠れるどころか、恐竜を狩っていた?
では、この大型の哺乳形類は何を食べていたのでしょうか。
残念ながら、足跡だけでは食性はわかりません。
そのため「この動物が恐竜をハントしていた」と今回の研究が証明したわけではありません。
しかし、ここで興味深いのが別の白亜紀の化石です。
2023年、中国で発見された約1億2500万年前の化石から、レペノマムス・ロブストゥス(Repenomamus robustus)という哺乳類が、植物食恐竜プシッタコサウルス(Psittacosaurus lujiatunensis)に襲いかかっていた可能性が報告されています。
化石ではレペノマムスが恐竜の上に乗り、顎をつかみ、肋骨付近に噛みついた状態で両者が絡み合っていました。
しかもプシッタコサウルスの体重は、襲っていた哺乳類のおよそ3倍だったと推定されています。
つまり白亜紀の哺乳類には、単に恐竜から逃げ回るだけでなく、自分より大きな恐竜を攻撃するものが実際に存在していた可能性が高いのです。
今回ブラジルで見つかった足跡の主は、それよりさらに大型だった可能性があります。
そのため研究者たちは、この時代の大型哺乳形類の中には、小型恐竜や恐竜の幼体を獲物にできたものがいた可能性も視野に入れています。
またボトゥカトゥの砂漠では大型恐竜が比較的少なかったため、他の地域では恐竜が占めていた生態的なポジションに哺乳形類が進出し、大型化できた可能性も考えられています。
ただし、これも現時点では仮説にすぎません。
今回見つかったのはあくまで足跡であり、この巨大な動物が肉食だったのか、そして恐竜を襲っていたのかを直接示す証拠はありません。
それでも、恐竜時代の哺乳類を「小さく、恐竜から隠れて暮らす存在」とだけ考えるのは、どうやら単純すぎるようです。
1億年以上前の世界では、恐竜の足元を逃げ回る哺乳類だけでなく、逆に恐竜を獲物として狙う哺乳類もいた可能性があります。
今後、この巨大な足跡の主に対応する骨格や歯の化石が見つかれば、恐竜と哺乳類の力関係について、これまでとはかなり違った白亜紀の風景が見えてくるかもしれません。































