子どもの「行動」を変えたいなら、その前にある「感情」に目を向ける
子どもが泣いたり、怒鳴ったり、反抗的な態度を取ったりすると、親としてはどうしても目の前の「行動」を止めたくなります。
もちろん、人を叩いたり物を投げたりする行動まで許す必要はありません。
しかしウェッブ氏が注目するのは、そうした感情的な行動の背景には、怒りや悲しみ、不安、悔しさといった「気持ち」があるということです。
そこで行動を止めることだけに終始すると、子どもにとって「この気持ちをどう扱えばいいのか」を学ぶ機会にはなりにくいとウェッブ氏は考えています。
たとえば「怒るな」と言われれば、その場では怒りを表に出さなくなるかもしれません。
しかし本当に必要なのは、怒りそのものをなくすことではなく、「自分はいま怒っている」と気づき、それを人を傷つけない方法で表現できるようになることです。
ここで関係してくるのが、感情にまつわる「自己調整」の力です。
米アリゾナ州立大学による2010年のレビュー研究では、感情が生じたときに注意や行動を調整する力は幼少期に急速に発達し、その後も成人期までゆっくり向上していくことが報告されています。
また、こうした自己調整能力が低い子どもほど、攻撃性など外に表れやすい一部の問題行動が多い傾向も確認されています。
つまり子どもに必要なのは、「怒ってはいけない」と感情を消すことではなく、怒ったときにどうすればいいのかを少しずつ身につけていくことなのです。
そして感情を理解し、うまく扱う力は、子ども時代だけの問題ではない可能性があります。
2015年の研究では、米国の低所得地域から集められた子どもたちについて、幼稚園時点で教師が評価した社会的・感情的能力と、その13〜19年後の状態を比較。
その結果、幼稚園時点の社会的・感情的能力は、その後の教育や雇用、犯罪、物質使用、メンタルヘルスに関する複数の指標と有意に関連していました。
こうしたことを踏まえると、自分の感情に気づき、それを適切に扱う力は、子どもの発達における重要な能力の一つだと考えられます。
さらにウェッブ氏が問題視しているのが、親から子へと子育てのパターンが受け継がれていくことです。
自分が子どものころに「泣くな」「そんなことで怒るな」と感情を軽く扱われて育った場合、それを普通の接し方だと思い、自分の子どもにも同じように対応してしまうことがあります。
実際、2009年の論文でも、厳しい子育てや温かく支援的な子育てなどには、強くはないものの世代をまたいだ一定の連続性があることが報告されています。
そこでウェッブ氏は、子どもへの日常的な言葉を少し意識して変えることを提案しています。
もちろん、間違った言葉を「一度でも使えば、大きな問題となる」というわけではありません。
ウェッブ氏自身も、ほとんどの子どもはこうした言葉を何度も聞いたことがあるだろうとしています。
問題なのは「あなたの感情は間違っている」「その気持ちは迷惑だ」「一人で処理しなさい」といったメッセージが繰り返し伝わってしまうことです。
では、具体的にはどのような言葉を変えればいいのでしょうか。































