見つかった集団は1つ、株の数は50に満たない

Thismiaの仲間は、低い標高の、いつも湿っている熱帯雨林と結び付けて考えられてきました。
今回の場所は、海抜1000m近い季節性の山地林。
チャンタナオラピント氏は「Thismia daemonaを見つけたのは、まさに大きな驚きでした」と話しています。
この発見は、この仲間が考えられていたよりも幅広い環境に耐えられる可能性を示しています。
T. daemonaが属するGeomitraというグループは、これまでマレー半島、ボルネオ、スマトラでしか記録がありませんでした。
タイ西部で見つかったことで、このグループの知られた分布は北へ広がりました。
タイで知られるThismiaは、これで15種から16種になりました。
見つかってすぐ、心配な点も見えてきた。
確認されている集団は1か所だけで、株の数は50に満たないとされています。
場所は国立公園の中ですが、観光客が定期的に訪れます。
人が誤って踏んだり、この植物と菌が頼っている林床を乱したりする恐れがあります。
研究チームは暫定的に、国際自然保護連合の基準で絶滅危惧IA類(野生での絶滅の危険がきわめて高い区分)にあたると評価しました。
形とDNAの両方から新種と確かめられ、この仲間の知られた分布は広がりました。
ただし採れた標本は2点で、DNAを読んだのはそのうち1点です。
集団の数も株の数も、いま見つかっている範囲の話です。
絶滅危惧IA類も、正式なレッドリストへの登録ではなく、論文が示した予備的な評価です。
守られた場所で、人がよく歩く道のそばにも、まだ名前のない生き物がいる。
光のほうを向かない植物にも、ちゃんと生きる算段があったわけです。

























