では、なぜ短いのか

イエネコから証拠が出ないなら、次の容疑者は誰でしょうか。
研究者が提示する別の要因は、近親交配です。
血縁の近い個体どうしの繁殖が続く集団では、体の作りの異常が表に出やすくなります。
ツシマヤマネコのDNAを分析すると、父親から来た配列と母親から来た配列がそっくり同じまま長く続く区間が、平均でゲノムのおよそ6割を占めていました。
イエネコや大陸のアムールヤマネコでは平均1〜2割ほどですから、際立った高さです。
ただ分析では、短尾の個体がほかのツシマヤマネコより特に近親交配が進んでいたという証拠は得られませんでした。
一見すると、近親交配は原因ではなさそうに見える結果です。
ところが、短い尾が1頭きりではなかったという事実とあわせると、別の側面が見えてきます。
研究チームは複数の個体に共通する遺伝的な要因や、体がつくられる過程の異常が潜んでいる可能性をあげています。
とはいえ詳しく調べられたのは1頭だけで、残りは姿勢も角度もばらばらな写真しかなく、3頭の短い尾が同じ現象なのか、そもそも子に受け継がれるものなのかも分かっていません。
それでも、この研究が前に進めたものははっきりしています。
外見から生まれた交雑の疑いを、ゲノムに照らして確かめられたことです。
交雑かどうかの判断は、その個体を野生に戻すか、繁殖計画に組み入れるかという、取り返しのつかない決定に直結します。
松本氏も「絶滅危惧の野生動物を管理するとき、外見だけでは判断を誤ることがあります」と述べています。
研究チームは、さらに多くの短尾個体を調べることを目指し、ふんなどから集めたDNAで捕獲せずに集団を追う手法の整備も進めているとしています。
























