大久野島のイノシシが見せた「ある行動」とは

研究チームが報告したのは、イノシシが生きたウサギを襲って食べる様子が目撃されたという事例です。
大久野島では以前にも、イノシシが健康なウサギを捕食したという目撃情報がありました。
そのため、こうした捕食は一度きりの出来事ではなく、繰り返されている可能性が示されたのです。
イノシシの行動は、それだけではありません。
ウサギのために与えられたエサを食べたり、ウサギの死体をあさったりする様子も報告されています。
では、なぜ大久野島でこのようなことが起きているのでしょうか。
研究チームは、観光客のエサに支えられて、島にたくさんのウサギが暮らしていることが背景にあるとみています。
イノシシはウサギの食べ残しのエサをあさり、島に数多くあるウサギの死体も食料にしていると考えられるのです。
さらに、イノシシがウサギとしょっちゅう近い距離で出会うことも、外来種のウサギと在来種(もともとその土地にいた生き物)のイノシシの間に、これまでにない関係を生んでいるのかもしれません。
ただし、今回の報告はあくまで目撃にもとづくものです。
研究チームも、観光客のエサやりがイノシシの捕食を引き起こしたという因果関係(原因と結果のつながり)までは示されていないと述べています。
それでも研究チームは、この事例は珍しい動物の行動の記録にとどまらないと指摘します。
観光客のエサやりが、エサを受け取るウサギ以外の生き物にも、間接的な影響を与えている可能性を示しているからです。
大久野島は国立公園であり、毒ガス製造施設の跡や砲台の跡などの戦争遺跡が残る歴史ある島でもあります。
研究チームは、ウサギや植物、エサやりの対象ではない野生動物のようすを継続して調べることが、持続可能な管理のために欠かせないとしています。
この事例は、持続可能な観光や生き物の多様性を守るために、野生動物へのエサやりのあり方を見直す大切な手がかりになるといいます。
ウサギにエサを差し出すという小さなふるまいの影響も、島の中では思いもよらない動物にまで、さざ波のように広がっているのかもしれません。




























