夜にかすかな光を浴びていた人の心臓に、何が起きていたのか?

ほかの条件の影響を統計の上でできるだけ取りのぞいて比べると、夜に3ルクスを超える光を浴びていた人と、まったく浴びていなかった人の心臓には、ちがいが見られました。
光を多く浴びていた人では、心臓の左心室(心臓の左側にある部屋)の壁が厚くなっていたのです。
左心室の重さ(身長をもとにならした値)は2.4%大きく、壁の平均の厚さは1.5%厚くなっていました。
壁が厚くなったぶん、部屋の内側の空間はせまくなっていたといいます。
その一方で、心筋(心臓をつくる筋肉)がどれだけ縮んで働いているかの目安は、1.9%低くなっていました。
心臓が拍動するたびにしなやかに形を変える力も、向きによって2.7〜2.9%ほど弱まっていました。
これは、まだ症状として表に出ない段階での、心臓の働きの低下にあたります。
チームは、心臓がうまく働かなくなることの早いサインだと見ています。
変化は左心室だけにとどまりませんでした。
右心室(心臓の右側にある部屋)では、血液がたまったときと送り出したあとの部屋の容積を補正した値が、それぞれ0.9%と1.6%大きくなっていました。
左心房(左心室の上にある、血液を受け入れる部屋)でも、いちばん広がったときの容積を補正した値が2.3%大きく、血液を送り出す割合は1.1%低くなっていました。
しかもどの結びつきも、浴びる光が多いほど心臓の変化も大きくなるという、まっすぐな関係を示していたのです。
チー教授は、このような変化を「心臓リモデリング」と呼びます。
長く続くストレスや心臓の傷に応じて、心臓の形や働きが変わっていく現象です。
教授によれば、これは体がストレスに合わせようとする反応ですが、最終的には心臓を弱らせ、心不全につながることもあるといいます。
実際に、8〜10年の追跡からは、病気との結びつきも見えてきました。
夜の光を多く浴びていた人は、浴びていなかった人にくらべて、心不全になるリスクが29%高かったのです。
ほかにも、脈が不規則に乱れる心臓の病気「心房細動」は15%、心筋梗塞は24%、脳卒中は33%、心臓や血管の病気で亡くなるリスクは26%高くなっていました。





















