兵士の服から生まれた「イチゴの服」

今回使われたのは、「プラント・アーマー(Plant Armor)」と名付けられた布です。
イチゴの株の上にかぶせて使う、いわば植物用の「よろい」です。
布は立体的な構造をしていて、虫が下の植物までたどり着けないようになっています。
その一方で、何層にも重なった作りによって、日光や雨、風は植物まで届くよう工夫されています。
実はこの布、もともとは畑のために生まれたものではありません。
出発点は、蚊に刺されにくく、ボディアーマーと一緒に着ても快適な軍服を作ろうとする取り組みでした。
同じ研究室の以前の研究では、作物カバーとして作った立体的な布(3Dスペーサー生地)を、トンネル圃場(トンネル状の覆いの中で作物を育てる畑)でキャベツにかけています。
そのときはキャベツの葉や茎の成長が2.93倍になり、布は虫の侵入に対する抵抗性も示していました。
ただ、葉や茎がよく育つことと、実がたくさんとれることは別の話です。
布をかけると実の収穫まで増えるのかどうかは、まだ調べられていませんでした。
そこで選ばれたのが、秋から春まで3つの季節にまたがって育つイチゴです。
イチゴの栽培では、花や実を凍えから守るために一重の布をかける方法がすでに使われています。
筆頭著者で同大学の大学院生研究助手のガブリエル・オラウイ氏は、「実をつけるには、植物には日光が必要です」と話します。
研究チームは、一見すると光を通しにくそうなこの布で日光が減ると、「避陰反応(日陰から抜け出そうとする植物の反応)」が起き、株は実より茎や葉を伸ばすほうに力を回してしまうと予想していたのです。
「よろい」を着たイチゴは、はたして実をつけてくれるのでしょうか。





















