なぜ「声」と「頭の働き」が結びつくと考えられたのか

声と頭の働きの関係を考えるうえで、研究チームが比べる目安にしたのが「難聴」です。
2020年、認知症に関する専門家の委員会は、難聴を「手を打てる認知症のリスク要因」の中で世界最大のものとして挙げました。
さらに、認知機能が衰える危険の高い高齢者に聞こえの手当てをすると、3年間の認知機能の変化が小さくなったという試験結果もあります。
声についても、声の響きを機械で測った数値の乱れが頭の働きの状態と関係しており、衰えを予測できるかもしれないと報告されてきました。
チームは、声の障害にも難聴と同じような2つの道筋がありうると考えました。
1つは暮らしの道筋で、声が出しにくいと、人と話したり頭を使ったりする活動から遠ざかるかもしれません。
もう1つは神経の道筋です。たとえばパーキンソン病では、病変の広がりを段階で示す「Braak病期分類」において、迷走神経(のどや内臓の働きを受け持つ神経)が、レビー小体と呼ばれる病変が最も早く現れる場所の一つとされています。
実際にこの病気では、声のかすれや話しにくさが、体の動きの症状より何年も先に現れることがあります。
声の変化は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や多系統萎縮症(体の動きや自律神経の働きがしだいに衰える病気)、アルツハイマー病といった病気とも関係すると言われてきました。
それでも、医師に診断された声の障害が、それだけで認知機能の低下と結びつくのかを大規模に調べた研究は、これまでありませんでした。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(人工甘味料の摂取は「認知機能の低下」を加速させていた)
そこでチームは、声の障害と診断された患者と、条件をそろえた比較相手を比べ、さらに難聴の患者グループも物差しとして用意しました。
声の障害も難聴と同じく、手当てができる状態だからです。





















