授乳中の女性の胸は気温が下がっても温かい

乳房は、赤ちゃんを温められるほど温かいのか?
答えを得るため研究チームは、温度や湿度を細かく設定できる実験室(気候チャンバー)に協力者を招きました。
集まったのは20〜40歳の27人で、内訳は授乳中の女性8人、授乳していない女性12人、男性7人です。
ただ赤ちゃんは実験に登場せず、大人の胸の温度だけが測定対象となりました。
参加者は上半身を出した状態で、32℃、27℃、18℃の部屋にそれぞれ20分ずつ入り、その間の胸の表面温度を、熱を色で映し出すカメラ(サーモグラフィー)で記録しました。
すると、まず一番温かい32℃の部屋では、授乳中の女性の胸が35.4℃、授乳していない女性が35.1℃、男性が34.2℃となり差はわずかでした。
しかし部屋を冷やすと、差がはっきりとしてきました。
27℃まで下げると、授乳していない女性と男性の胸は、32℃のときより1.5℃ほど低い値になりました。
ところが授乳中の女性の胸は、32℃のときから平均でわずか0.1℃しか下がっていません。
部屋の空気が5℃冷えても、そこだけがほとんど動かなかったのです。
18℃まで下げると、差はさらにはっきりしました。
32℃のときからの下がり方は、授乳していない女性で4.7℃、男性で4.3℃でしたが、授乳中の女性は2.5℃しか下がりませんでした。
そして20分が終わった時点では、授乳中の胸はまだ33℃近くを保っていたのに対し、ほかの2グループの胸は30℃前後まで冷えていました。
授乳中の女性の胸は、3つの温度のどれでも、ほかの2グループより温かいままでした。
またこの調査によって、保温が脂肪のお陰でないこともわかりました。
授乳していない女性の胸は、胸に脂肪の少ない男性の胸とほとんど同じように冷えていたからです。
統計的に見ても、この2グループの冷え方に差は見られず、授乳中の女性だけが両方から明確に離れていました。
研究者たちは、この冷えにくさを生んでいるのは脂肪の断熱ではなく、妊娠・出産・授乳にともなって活発になった乳腺と、胸まわりの血管の働きだと考えています。





















