飛行士の骨折を「飛行士どうし」で比べた理由

NASAはこれから、6か月を超える長い宇宙ミッションをいくつも計画しています。
その中には、2028年に予定されている月の南極への有人ミッションや、火星を見すえて月面で長く活動するための準備も含まれます。
人が宇宙で過ごす時間が長くなれば、体力と健康を見込まれて選ばれた飛行士でも、骨の健康に長く悪い影響が出るおそれがあります。
やっかいなのは、骨が減っていくことを本人は感じられない点です。
研究を率いたジーン・シボンガ博士によると、帰還後に回復したと感じた飛行士は、骨に変化が残ったまま、体に負担のかかる活動を再開することがあるといいます。
ただ、論文に添えられた解説記事の著者の1人が指摘するように、飛行士の人数は少なく宇宙飛行もまれなため、こうした研究は正確さに限界があります。
そこで研究チームは、アメリカの宇宙飛行士が毎年の健康診断で報告したすべての骨折を、2018年から2022年にかけて調べました。
比べる相手を一般の人ではなく、飛行士の仲間うちにしたのも工夫の一つです。
飛行士はよく体を動かすので骨折しやすいのではないか、という見方による偏りを避けるためでした。
さらに、同じ人の重複や、人ごとの観察期間の長さ、グループの平均年齢のちがいも計算に入れています。
分析には、確率で考える「ベイズ統計」の方法を使い、データの少なさという壁を乗り越えようとしました。
比べたのは、90日を超える長い宇宙飛行のあとの期間と、そうした長い飛行をしていない期間、そして宇宙飛行そのものをしていない期間です。























