history archeology

8歳の「少女版アーサー王」が古代の剣を発見 スウェーデン

2018.10.05 Friday

Credit: Jönköpings läns museum
Point
・スウェーデン南部のVidöstern湖から、バイキング時代以前の紀元前5〜6世紀にかけて作られたと思われる剣が発見された
・発見者は8歳の少女で、湖で水遊びをしている際に剣を偶然発見した
・湖では他にも同時期に作られたと推測されるブローチが見つかっており、当時はこの近辺で生贄が捧げられていた可能性がある

某ゲームをしている人にとっては、思わず「アーサー王はやっぱり女王だったのかも」と想像したくなるニュースです。

この幸運な少女の名前はサーガ・ヴァネチェクちゃん。この夏、スウェーデン南部のスモーランド地方の別荘に面したVidöstern湖の側で遊んでいる時に、偶然バイキング時代以前に作られたと思われる剣を発見しました。

サーガちゃんは発見当時の状況について、こう話しています。

「湖の中に棒や石を投げて、どれくらい遠くまで飛ばせるかを試して遊んでいました。そしたら、湖の中に何か棒のようなものが見えたの。それを掴んで、一度は湖の中に戻そうと思ったんだけど、持ち手が付いていることに気が付きました。それに、先がちょっと尖ってて、錆だらけだったんです。だから水中から持ち上げて、お父さんに『お父さん、剣を見つけたよ!』って叫んだの」

湖で剣を発見されるのは、非常に珍しいことです。この発見のきっかけとなったのは、今夏の干ばつによるVidöstern湖の水位低下です。水位が低いと、湖の底にあるコンクリートブロックが横行するボートにぶつかる危険があります。家族で目印のブイを湖に設置しようとしていたその時、この奇跡は起きました。

父親のアンディ・ヴァネセックさんは最初、娘が見つけたのは棒切れか木の枝だと思いました。ところが、その曲がり方を見て、「剣かもしれない」と気づいといいます。しかしそれでも、ただのおもちゃの剣かもしれないという疑いは晴れません。そこで、近所に住む考古学に詳しい同僚にこの剣を見せて尋ねたところ、どうやら本物らしいということが発覚。ようやく専門機関に届け出ることができました。

Credit: BBC / 剣が発見されたVidöstern湖

本物とわかるや否や、この発見はすぐに考古学者たちの注目を集めました。この剣は、バイキング時代以前の紀元前5〜6世紀にかけて作られたものと推測されています。剣の長さは約85センチメートル。金属や木材、動物の革で作られていて、保存処理にはかなりの時間が掛かります。この剣を実際に見れるようになるには、最低でも一年はかかるそうです。

この剣が湖にたどり着いた経緯はわかっていませんが、実は先日、剣と同時期に作られたと思われるブローチが湖で発見されました。研究者らは、湖の近くには墓地があったと初めは考えていましたが、今はこの近辺で生贄が捧げられていたのではないかと推測しています。剣の発見を契機に、この地域の詳細な調査が開始されましたが、剣とブローチに続いてこれまでに見つかったのは、18世紀に鋳造されたコインだけです。

剣の発見を公表したサーガちゃんのその後

発見当初、サーガちゃんは、剣を見つけたことを口外しないように博物館の担当者から言われていました。もし公になれば、湖に大勢の人が押し寄せ、発掘作業が困難になる恐れがあるからです。

サーガちゃんがこの秘密を打ち明けたのは、信頼できる親友ただ一人。ニュースが公表された日、サーガちゃんはクラスで初めてこの話をしたところ、担任の先生がお祝いのパーティーを開いてくれ、クラスのみんなでアイスクリームを食べながらサーガちゃんのインタビューの映像を鑑賞したそうです。「みんな、すごく楽しんでくれて、私の話を面白そうに聞いてくれたの」と、サガちゃんは誇らしそうに語っています。何とも微笑ましい話にほっこりするとともに、ずっと秘密を守ってくれた親友と、担任の先生の粋な計らいに拍手を贈りたくなりますね。

父親のヴァネチェクさんは、「娘よりも私の方が秘密を守るのに苦労しました。フェイスブックに載せるのも我慢しました。娘が見つけた剣が博物館に飾られて、もしかしたら『サーガの剣』なんて名前を付けられるかもしれないこと、それにこの先何千年も展示されるだろうことを想像すると、わくわくします」と、喜びを語りました。さらに、奇遇にもヴァネチェクさんはミネソタ州のフットボールチーム「ミネソタ・バイキングス」の大ファン。娘がバイキングが使っていたような剣を発見したことに、興奮を隠しきれない模様です。

図らずも「少女版アーサー王」となったサーガちゃんの将来の夢は、医者か、獣医か、俳優とのこと。でも、この出来事がきっかけになって、彼女が考古学の道を志す可能性もあるかも?

サーガちゃんが今後の研究に参加するかどうか、また表彰を受けるかどうかは、スウェーデン国立公文書館に判断を委ねられています。

スコットランドの古城の洞窟に眠っていた「秘密の扉」が発見される

【訂正 10.06】
記事写真に一部誤りがありましたので、削除し再送しております。

via: the local / translated & text by まりえってぃ

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!