・スコットランドの古城が立つ海岸の崖の洞窟の奥で、数世紀の間隠れていた扉が発見された
・洞窟は15〜16世紀頃に密輸品の保管庫として使用されていたとみられている
・洞窟の近辺では扉以外の証拠品も見つかっており、鉄器時代にはすでに人々がこの洞窟を使っていたことが判明している
スコットランドの西海岸にある洞窟の奥で、長い間ひっそりと眠っていた秘密の扉が発見されました。
扉が見つかったのは、カレイン城が立つ崖に空いた洞窟の中。荒波で打ち上げられた岩や砂に埋もれていたため、数百年もの間人目を逃れていたのです。
カレイン城はエアシャーにある海辺の町メイボールにある古城で、崖の上にそびえ立つ美しい姿で知られています。18世紀に建築されて以来、スコットランド建築芸術の傑作として高い評価を得ており、現在スコットランド・ナショナル・トラストにより管理されています。
今回、この城の洞窟が15〜16世紀にかけて、当時の商品を合法・非合法問わず保管する倉庫として使われていた可能性が明らかになりました。洞窟は城の建設よりずっと前に作られたもので、当時は普通の住宅が建っていたとみられています。
城が立つ岩の北の端には古い馬屋があり、その下には二つの洞窟があります。2つの洞窟の入り口のうち、西側の洞窟を20メートルほど奥に進むと、15〜16世紀前後につくられたと思われる石造りの扉の跡が残っていました。扉の幅は1.1メートルとかなり広く、留め具で固定できるようになっていました。
発掘調査に参加者したボランティアの一人は、「大量の泥や石を運び出していた時、右側の扉の端が見え始めたのです。『ついに見つけた!』と興奮しました。扉は予想以上に大きなものでした」と語っています。
エアシャーの海岸は、数世紀にわたって密輸業者が自由に活動できる楽園だったようです。このため、密輸品の保管庫の扉のサイズは重要なものでした。発見された扉は、巨大な酒樽を容易に転がし入れることができるほど、幅の広いものでした。
こうして白日の下にさらされた秘密の扉ですが、残念なことにそのまま剥き出しにしておくことはできず、もともと扉を覆っていた砂や岩で再び埋められてしまいました。
しかし人々が崖で生活していた証拠は、この扉だけというわけではありません。洞窟の近くでは他にもいくつかの証拠品が見つかっており、放射性炭素年代測定によると、二千年近く前の鉄器時代には人々がすでに洞窟を使っていたことが明らかになっています。
今では風光明媚な観光地として賑わうこの古城。当時は荒くれ者の密輸業者たちで賑わっていたと思うと、とても歴史ロマンを感じますね。
via: BBC / translated & text by まりえってぃ