・NASAが南極半島沖で、きれいな長方形に見える卓状氷山の一部の写真を撮り公開
・温暖化により氷山ができやすくなり、珍しい氷山も見つけやすくなった可能性
南極に「モノリス」があらわれた?
氷山といえば最初に思い浮かぶのは、巨大な氷の山でしょう。しかし、今回NASAが発表した南極の氷山の写真は、そのイメージとはかけ離れていました。そこには自然につくられたとは思えない、直角で一直線の辺を持つ、長方形の氷山が写っているのです。それはまるで、『2001年宇宙の旅』に登場する謎の四角柱「モノリス」のようです。
NASA’s IceBridge polar planeという南極を飛ぶ飛行機によって撮影されたこの氷山。どんな怪奇現象かと身構えますが、実はこのテーブル状の氷山は「卓状氷山」と呼ばれるもので、それほど珍しくはありません。卓状氷山の中には11,000平方キロという巨大なものもありますが、この卓状氷山の幅は約1.6kmです。この平らな形から、南極半島東部のラーセンC棚氷から最近分離してきたものだと考えられています。
棚氷とは、陸上の氷河や氷床が海に押し出されて、陸上の氷と連結した状態で洋上にあるもののことで、その表面の多くは平らになっています。卓状氷山は、その重さによって棚氷の端が割れて分離してできた氷山です。
とはいえ、これほどきれいに割れた卓状氷山の側面は非常に珍しいものです。これほど綺麗な直線になった理由としては、地球温暖化による海水温の上昇で氷山の生成が活発になったことで様々な側面のバリエーションが増え、その中にたまたま綺麗に割れたものが含まれていたといったことが考えられます。
しかしこの美しさに純粋に見とれているわけにもいきません。地球温暖化が進むと、南極の氷の量は増加するといわれています。そして氷が溶けて海面が上昇し続けると、低い土地が海面下に沈んでしまう可能性もあるのです。
南極に現れたこのモノリスのような氷山は、人類を進化させ、この危機を乗り越えさせようとしているのかもしれません。
via: Motherboard/ translated & text by SENPAI