■謎の大陸アトランティスは、スペイン南部の沿岸地方にあるドニャーナ国立公園の下に存在している可能性がある
■新たに撮影された衛星画像によると、防波堤の遺物が発見され、これはプラトンが記述したアトランティスの説明と類似する
■収穫された遺物の分析では、防波堤の建造に高度な技術が用いられており、アトランティスの文明がきわめて発達したものであることが分かる
謎の大陸アトランティス。そのミステリアスな島は多くの研究者を惹きつけてやまず、これまでにも数多くの論争や調査が繰り返されてきました。
アトランティスの場所については地中海説や大西洋説など多々ありますが、今回イギリスの衛星画像を扱うMerlin Burrows社の研究チームによって、スペインの沿岸にある湿地帯の下に眠っているのではないかという説が提唱されました。
アトランティスとは、古代ギリシャの哲学者であるプラトンの著作に登場する大陸の名称です。
初めてその記述が見られたのは、紀元前400年頃。プラトンによると、アトランティスは彼の時代よりもさらに9000年ほど前に栄えた帝国であり、高度に発達した文明のもと、広大な海上を支配していました。
アトランティス帝国の中心部には、巨大な防波堤や大きな門柱、そしてポセイドンを祀るための寺院や、古代人が居住するための円錐形の建物が築かれていたといわれています。その最後は、津波や火山の噴火といった自然災害による滅亡で、彼らの遺物も大陸とともに海の底に消えていったと語られています。
ただし多くの歴史学者は、アトランティスはプラトンが自らの哲学的理論を裏付けるために用いた架空の大陸ではないかと主張しているのも確か。
そこに今回一石を投じたのが、イギリスのMerlin Burrowsの研究チームです。スペイン南部のアンダルシア州にあるドニャーナ国立公園の下にアトランティスがあったのではないかという仮説がもっとも有力であると指摘しています。
スペインのドニャーナ国立公園の下には巨大な防波堤がありますが、長年それは古代のローマ人やギリシャ人によって建造されたものだとされていました。しかし、Merlin Burrowsの主任研究者であり、海洋歴史学者のティム・エイカー氏は、この巨大な建造物は謎めいた存在である「アトランティス人」によって造られたものだと言います。
それを証明するかのように、スペイン南部で発見された遺物は、プラトンが書物の中で行ったアトランティスの記述と究めて類似していることが分かっています。今回撮影された新たな衛星画像によると、その防波堤は巨大な門柱を持ち、またプラトンが描いたように推定5.5マイル(およそ8.8km)の長さに及ぶものだったのです。
さらに、エイカー氏によると、スペイン南部の遺跡がアトランティス大陸であるというだけでなく、そこに住んでいた古代人が非常に発達した文明を誇っていたことも主張しています。
エイカー氏とその研究チームは、イタリアのモデーナにある研究所にて、収集した遺物の科学的な分析を行いました。するとその結果、その巨大な防波堤はフジツボが成長し張り付くのを防ぐためのコーティングが施されていたことが判明しました。しかもその技術は、現在フライパンなどのコート塗装に用いられるテフロンを用いた技術に類似しており、高度な科学的知識を要するとのこと。
また、遺物サンプルの分析は他にも、門柱の建造に方解石のような結合剤や雲母、カリウム、その他の微量な鉱物が人工的に配合されていることを示しており、アトランティス人が究めて高度な建築技術を持っていたことが窺えます。そして、建造物は先史時代のコンクリートから造られていることも判明し、これは古代ローマ人やギリシャ人が生きていた時代よりもはるかに古いことを証明しています。
しかしもちろん、これだけでアトランティスの存在を証明する十分な証拠となるわけではありません。エイカー氏は現在、Ingenio Filmsと提携して「アトランティカ」というドキュメンタリー映画を制作しています。これはアトランティス調査の過程を記録したもので、エイカー氏は、この映像が未来の世代のためにその調査地域を保護し、将来の研究のための資金援助となることを願っています。
大西洋から地中海にまで伸び広がる、周囲100マイルの地域にアトランティスが眠っているのではないかという主張は無謀にも思えるでしょうが、エイカー氏は今回の調査が今まだにないものであったため、自信をのぞかせています。
謎に包まれたアトランティスの全貌が、現代技術によって明らかになる日が迫っているのかもしれません。