こんまりメソッドの心理学的メリット
さらに、「こんまりメソッド」は、心理学的に見てもメリットがあります。物をカテゴリー別に整頓していれば、どこに何が収納されているか一目瞭然なため、探すときのストレスもありません。さらに、キレイな空間で作業をすると、思考力と能率が向上することも分かっています。スペインにあるナバーラ大学の研究では、散らかった部屋でインプット作業をすると、記憶の質が大幅に落ちることが判明しました。
また、時間のかかる片付けを最後までやり遂げることで、「自己効力感」を高めることもできるのです。「自己効力感」とは、自分に仕事をこなす力があることや自立心を感じることのできる能力。この能力が高い学生は、学校での成績もアップし、さらには、「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)」といったトラウマ症状まで軽減されることが証明されています。
しかし、時間と労力のかかる「こんまりメソッド」が、心理的に悪影響を及ぼすこともあります。というのも、タスクを最後まで完遂することができなかった人は、その後に続く作業能率や質も落ちてしまうのです。
そして、もっとも特徴的な「物に心を見る」ことも人によっては逆効果になります。もともと無機質な物に人格を持たせるような行為は、心理的にセンチメンタルになりやすく、愛着が湧いて、逆に捨てられないという結果につながってしまうのです。
いくつか問題点もあるかもしれませんが、「こんまりメソッド」を実践してみる価値は大いにあるでしょう。こうした心身ともに負担のかかるタスクをやり遂げることができれば、心理的にも大きな自信になり、別のタスクでも質の高い作業をすることができるのです。
今、世界中を魅了する「こんまり」さん。自身の片付けテクに多大な精神力が必要なことが分かっているからこそ、「ときめき」という心を大事にしているのでしょうね。