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奇妙な風力発電機が登場 / Credit:Airloom Energy
technology

【どうやって発電?】「レール上を翼がグルグル走る」奇妙な風力発電が登場

2025.07.03 11:30:02 Thursday

風力発電といえば、巨大なブレードをもつ風車型が一般的ですが、そんな常識を覆すような奇妙な風力発電機が登場しました。

この発電機を開発中なのは、Airloom Energyというアメリカ・ワイオミング州のスタートアップ企業です。

彼らは「レール上を翼がグルグル走る」奇妙なの風力タービンを用い、低コストかつ迅速に導入できる新たな風力発電の形を模索しています。

そして2025年夏、Airloomはついに実用規模のタービンの建設を開始しました。

Airloom’s bizarre ground-hugging wind turbine gets ‘utility-scale’ pilot https://newatlas.com/energy/airloom-wind-turbine-pilot/ Airloom Energy Takes Critical Step for the Future of U.S. Energy Independence, Resilience and Security with New Pilot Site https://www.globenewswire.com/news-release/2025/06/26/3106140/0/en/Airloom-Energy-Takes-Critical-Step-for-the-Future-of-U-S-Energy-Independence-Resilience-and-Security-with-New-Pilot-Site.html# The next era of resilient power. https://www.airloom.energy/

レール上を複数の「翼」がグルグル走る!Airloom社の「奇妙な風力発電機」

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一般的な風力発電機 / Credit:Canva

現在広く使われている風力発電機のほとんどは、いわゆる「風車型」です。

高いタワーの上に巨大なブレード(羽根)を設置し、風の力で回転させて発電する仕組みで、海上に設置されるものでは全高が300メートルを超えることもあります。

この従来型の風力発電のメリットは、空気の流れが安定する高高度で効率よく風を捉えられる点です。

とくに洋上風力では安定した風を利用できるため、大規模な電力を長期にわたり供給できます。

一方で、その巨大さゆえに建設には数年を要し、巨大クレーンや専用船など特殊な設備が必要となります。

また、設置や保守には高額な費用がかかり、地域によっては景観や鳥類への影響も懸念されます。

こうした問題を踏まえて登場したのが、Airloomの提案する新型風力発電機です。

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楕円型レーンに複数のブレードが付いた奇妙な風力発電機 / Credit:Airloom Energy

Airloomの風力発電機は、まず見た目からして、一般的な風車ではありません。

楕円形の軌道(トラック)をポールで支え、その軌道上を33フィート(約10メートル)の垂直な翼がケーブルにつながれて移動します。

これらの翼は風の方向に応じて角度を変えながらトラック上を走行し、ケーブルの直線的な動きを発電機で電力に変換する仕組みです。

設置高さは約25メートルで、空高くそびえる従来型とは対照的に、比較的低高度な構造です。

小型でモジュール式の設計により、製造・輸送・設置のすべてが簡素化され、コスト効率に優れているとされています。

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小規模実験の様子 / Credit:Airloom Energy(YouTube)

商用モデルとしては2.5MW級の出力が想定されており、これは2千世帯以上の電力をまかなう規模です。

さらに驚くべきことに、この発電システムは1台のトラックで運搬可能で、設置にも大型クレーンを必要としないとされています。

このアイデアは長年、小規模な試験のみが実施されてきましたが、ついに実用規模の開発が始まりました。

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