■飛行機での移動による気圧の変化が、赤ちゃんに耐え難いほどの苦痛をもたらしている
■赤ちゃんは耳管が大人ほど発達していないため、中耳腔内の圧力と外圧の均衡を保つ「均圧」が得意ではない
■離着陸時に赤ちゃんを起きた状態にして哺乳瓶などをくわえさせ、風邪の時などは飛行機移動を避けた方が良い
赤ちゃん連れの長旅で親を最も悩ませるのが、飛行機の機内で赤ちゃんが泣き出してしまうことだ。
不快感、疲れ、飢えなどが泣き声や涙となって現れるが、その中でも特に、高度の高い場所を飛行することによって生まれる気圧の変化が、赤ちゃんに耐え難いほどの苦痛をもたらしていることが明らかになった。
赤ちゃんと大人の耳との解剖学的な違い
耳鼻咽喉科医サイモン・ベア氏によると、赤ちゃんと大人の耳には解剖学的な違いがあるそうだ。
赤ちゃんは、圧力のかかった空気を中耳腔内に送り込み、外気の圧力との均衡を保つ「均圧」が得意ではない。それは、喉の奥から鼓膜の内側の中耳腔に通じ、圧力のかかった空気を中耳腔内に取り込む細い管である「耳管」が、大人ほど発達していないからだ。
耳管は普段は閉じているが、あくびをしたり、物を飲み込んだり、咀嚼したりする時にだけ開き、中耳腔と上咽頭の間で空気が通り抜けられるようにする機能がある。
外気の気圧が急変し、耳が詰まったような感じがすると、多くの人があくびをしたり唾液を飲み込んだりするのは、意図的に耳管を開いて中耳腔内の圧力を外気の圧力の均衡を保つためだ。
特に飛行機の高度が下がり、気圧が低い場所から高い場所へ移動する時は、大きな支障が出る。逆に、飛行機が上昇し気圧が高い場所から低い場所へ移動する時は、問題はあるもののそれほど深刻ではない。現在使用されている飛行機はある程度気圧の調整がされているとはいえ、地上と上空の気圧には大きな差がある。