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闇に飲まれよ!1分で透明から漆黒に変化するガラスが実現

2019.03.01 Friday

スマートガラスの透過率低下ON・OFFの比較画像。Credit:nature
Point
■一瞬で透過率の切り替えができるスモークガラスが開発される
■従来は切り替えやコストに難があったため普及せず
■使われている技術は高校化学で習う酸化還元反応

────闇に飲まれよ!!!(真っ暗ですね)

外からは真っ暗でも、中からは外が見える非対称さを利用した便利なスモークガラスは、一説によるとジョン・レノンがプライバシー対策のために発案し、ロールスロイスが特注で彼の車に取り付けたのが始まりだそうです。現在では主にスモークフィルムが使われ、車や電車などでみられます。

しかし中には、普通のガラスとスモークガラスの状態を切り替えることができるものも。それは必要な時だけ透過率を上げることができることから、スマートガラスと呼ばれています。

今回、アメリカの研究チームが画期的なスマートガラスを開発しました。この論文は科学雑誌「nature」に掲載されました。

Hybrid dynamic windows using reversible metal electrodeposition and ion insertion
https://www.nature.com/articles/s41560-019-0332-3

技術を支えているのは高校化学でおなじみの……

スマートガラスはこれまで、政府専用機などで使われるケースはありましたが、一般的な用途ではあまり普及していません。原因としては、スマートガラスが必須である環境が少なかったことや、周辺技術が未成熟であったことが考えられています。

スマートガラスに求められるのは、十分な透過率の切り替えができること、すばやく切り替わること、繰り返し使ってもパフォーマンスが落ちないこと、安全であること、安価に作れるものであること。中々高いハードルです。

そこで今回研究チームが開発したのが、安価かつ素早い切り替えの可能なスマートガラス。10センチ四方の大きさのスマートガラスで実験したところ、透過率75%(2重ガラスと同等程度)から透過率10%(ほぼ真っ暗)までの変化を、わずか1分間で行うことに成功したそうです。

さらに透過率切り替えの耐久試験をした所、4000回の切り替えを経てなお、パフォーマンスは健在という結果が出ました。

ここまで読んだ方はきっと、「この高機能なスマートガラスのを支えている技術は、きっと名前も知らない、最先端のすごい技術なのだろう」と想像するかもしれません。しかし、実はこのしくみは酸化還元反応によるもの。酸化還元反応というと、高校化学で実験をした方もいるのではないでしょうか。

一般的な酸化還元反応の実験概要図。電源につながっているのが電極、水色と灰色の液体が電解液。Credit:pixabay

今回開発されたスマートガラスは、電極としてインジウム酸化物とニッケル酸化物を、電解液にはビスマスと銅のイオンを含むものをサンドイッチ状に配置しました。電極も電解液も透明ですが、電圧を加えると黒いメッキが施され透過率が下がるため、一瞬でガラスが黒くなります。

これらの材料は比較的安価なもので、他の技術で開発中のスマートガラスよりもコストを抑えて作れるという魅力も。またプラスチックのシートの中に収めて窓を作ることも可能なので、今後は季節や時間帯に応じた建物の断熱などへの応用が期待されます。

闇に飲まれよ!(個人的にはトイレの個室のドアや玄関のドアみたいな”プライバシーの保護が必要だったり、ひと目で人がいるかいないか分かるようになると便利な場所”に使うといいんじゃないかなって思いました。)

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/3192

reference: nature / written by 白大根

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