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カンブリア紀の海中生物は海底に「トンネル」を掘って暮らしていた

2019.03.11 Monday

Credit:news.usask.ca
Point
■「カンブリア紀」の海中生物は、泥でできた海底にトンネルを掘って、その中で暮らしていた
■発見された化石の中には、小さなワームが掘った細いトンネル以外にも、捕食者が掘った人の指幅のものも確認された
■化石はほぼ完璧な保存状態で残っており、これは当時の酸素濃度の低さが、腐食を止めたためと考えられている

古代の海中生物が暮らしていたのは、海底に掘った「サブウェイ」の中で、さらにサバイバル状態だったようです。

カナダにあるサスカチュワン大学の地質学者ブライアン・プラット氏により発見された5億年前の「泥板岩」の化石中に、古代生物が掘ったとされるトンネルが見つかりました。当時の古代生物は、どうやらサブウェイ生活を送っていたようです。

研究の詳細は、1月18日付けで「Geology」上に掲載されています。

Extensive bioturbation in a middle Cambrian Burgess Shale–type fossil Lagerstätte in northwestern Canada
https://pubs.geoscienceworld.org/gsa/geology/article-abstract/47/3/231/568392/extensive-bioturbation-in-a-middle-cambrian?redirectedFrom=fulltext

「泥岩層」のおかげでトンネルが掘りやすかった

プラット氏が化石を発見したのは、カナダ北部に位置する「マッケンジー山脈」でのこと。ただ、5億年前のマッケンジー山脈は、現在のように分裂する前の超大陸に属しており、氾濫する海水の底に沈んでいました。

そして、5億年前と言えば、生物の多様性が一挙に花開いた「カンブリア紀」。当時のマッケンジー山脈付近には、多毛類の小さなワームやカニ・ロブスターの祖先である甲殻類、その他の有機生物が膨大に生息していました。

しかしこれまでマッケンジー山脈付近は、専門家たちから「生命が生きるのに十分な酸素量が欠如しているため、生物のすみかとしては不適当だ」と考えられていました。

ところが、プラット氏が発見した「泥板岩」の中には、化石化したカンブリア紀の軟体動物がしっかりと残されていました。しかもそれだけではなく、研究所に持ち帰った岩石を慎重に切除してみると、古代生物たちが暮らしていた秘密のトンネルが姿を現したのです。

プラット氏は「泥でできていた海底のおかげで、トンネルを作りやすかった」と指摘しています。ただし、トンネル生活はかなり過酷だったようで…。

次ページ「サブウェイ」での過酷なサバイバル生活

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