人工卵からヒナが誕生、鍵は「酸素を通す膜」
同社が発表した人工卵は、3Dプリントで作られた格子状の殻と、シリコーンを基盤とする透明な膜で構成されています。
同社によると、この膜は自然の卵殻のように酸素を通す能力を持ち、通常の大気中の酸素濃度、つまり約21%の酸素環境で鳥類の胚を発生させられるといいます。
これは鳥類の発生研究において大きな意味を持つ可能性があります。
ヒナの胚は、卵の中で成長する間も酸素を必要とします。
自然の卵では、硬い殻にあいた微細な穴を通じて酸素が入り、二酸化炭素が外へ出ていきます。
卵殻は単なる入れ物ではなく、呼吸を支える精巧なフィルターのような役割を果たしているのです。
過去にも、人工的な容器の中で鳥の胚を育て、ヒナをふ化させる研究は行われてきました。
たとえばガラス容器や透明なプラスチックカップ、プラスチックフィルムなどを使って、ウズラやニワトリの胚を育てる試みが報告されています。
しかし従来の方法では、ふ化が近づくにつれて高濃度の酸素を補う必要がありました。
高濃度の酸素は胚の発生や健康に悪影響を及ぼす可能性があり、標準的な商業用インキュベーターで扱いにくく、大規模化にも向かないという課題がありました。
同社は今回、自然の卵殻に近い酸素交換を実現する膜を開発することで、補助的な酸素供給なしにヒナをふ化させたと説明しています。
【人工卵や孵化したヒナの実際の画像がこちら】
同社によれば、これまでに二十数羽のヒナが、この人工卵システムから誕生しています。
また人工卵の大部分は透明なため、胚が発生していく様子をリアルタイムで観察できる点も特徴です。
これは、ゲノム編集によって狙った形質が現れているかを確認したい研究にとって、大きな利点になる可能性があります。
自然の卵では、殻の外から中の発生過程を詳しく見ることは簡単ではありません。
しかし透明な人工卵であれば、いわば「窓つきの卵」のように、生命が形づくられていく過程を外から連続的に追えるのです。







































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