■犬の人に対する「協力能力」は、祖先であるオオカミから受け継がれた
■人との共同タスクでは、犬が服従的であったのに対し、オオカミは主体的にリードをした
■オオカミも人に慣れれば、犬以上に良い共生関係が結べるかもしれない
犬を超える深い絆を、オオカミと結べる日がくるかもしれません。
オーストリアにあるコンラート・ローレンツ研究所のチームは、犬とオオカミが持つ、人との協力能力を調査。その結果、人と犬の共生関係が、犬の中に眠るオオカミの能力のおかげであると分かりました。
研究の詳細は、3月7日付けで「Scientific Report」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-40468-y
オオカミの主体的な協力スキル
研究では、犬とオオカミの協力行動を調査するために、人とペアを組んで共同作業を行う様子を観察しました。実施されたのは、「ストリング・プリング」と呼ばれるタスクで、人と犬もしくはオオカミが、台の紐を協力して引っ張り、その上に乗った食べ物をゲットするというもの。
食べ物が乗っている部分は、金網の向こう側にあり、それを取るためには、台についている2本の紐を引っ張って手前にスライドさせなければなりません。つまり、紐の片方を人が、もう片方を犬/オオカミが持って、同時に引っ張るのです。
その結果、犬とオオカミはどちらも人との共同作業に成功したのですが、両者の振る舞い方はまったく正反対でした。
というのも、犬がパートナーとなる人の動きを見てから、それに従うように同じことをしたのに対し、オオカミは自分が主導権を握っているかのように、パートナーをリードしていたのです。
オオカミの「黙って俺についてこい」的な姿勢に、パートナーの女性もグッときた…かどうかはわかりませんが、頼もしいリード具合です。