犬の協力スキルは祖先のオオカミから受け継がれた
確かに、現時点での共同作業の円滑さは、人と犬ペアの方がスムーズです。主任研究員のFriederike Range氏によると、これには犬が人に飼い慣らされてきた長い歴史が大きな要因であるとのこと。
人と同じ環境にさらされる内に、犬の攻撃性はなくなっていき、反対に人の言うことを聞く忍耐力が高められていったのです。さらに、人が食料を与えてくれるため、狩をする必要もなくなり、犬は温和で従順な性格となっていきました。
しかし、こうした理由から、「人との円滑な協力関係は犬だけが可能だ」と思いきや、そうではないのです。むしろ、協力する力はオオカミたちに起源があります。なぜなら、オオカミというのは、長い間、自分たちだけで協力して子供を育て、狩をし、テリトリーを守ってきました。
要するに、主体的に協力する能力はオオカミの方が断然高いというわけです。犬は、あくまでも人の指示を受動的に聞くというだけでしょう。
このことから、研究チームは、犬が人との共生関係の中で「協力スキル」を育んでいったというよりも、犬たちの共通祖先であるオオカミがあらかじめ持っていた能力が基盤となっている、と結論づけたのです。
この仮説をもとにRange氏は「もしオオカミも人間に慣れて、共生関係を築くことができれば、犬以上に良きパートナーとなりうる」と話しています。
引っ込み思案な人間と、ガンガン引っ張ってくれるオオカミのペア…なんていうのも素敵かもしれません。