泡がくっつきやすい頭部の形状
スウィアーク氏によると、頭の先端は、大きな空気の泡がくっつきやすい形状になっているのだとか。ウォーターアノールが水中での呼吸に適応したのは、安全な水中に身を隠せる時間を伸ばすためだったのでしょう。形態的適応の一例です。
確かに、特に足が速いわけではないウォーターアノールにとって、水中に潜ることは、天敵から身を隠す効果的な方法の1つ。数分間水面下で身を潜めていれば、うまく天敵の視界から逃れることができるからです。実際、ウォーターアノールの捕獲には、スウィアーク氏も手を焼きました。
さらにスウィアーク氏は、ウォーターアノールが頭部や喉の周辺に複数のエアポケットを作り、それらの間で新鮮な空気の取引が行われている可能性も指摘。つまり、1つのエアポケットから、新鮮な空気から成る別のエアポケットに切り替えるという「離れ業」を行っているのではないかというのです。
また、ウォーターアノールの胃の中を調べたところ、主に水中で見つかる昆虫の一部を食べることも判明。ウォーターアノールが潜水するのは、天敵からの防衛だけが目的ではない可能性があります。
今後、スウィアーク氏らの研究チームは、潜水による防衛機能の仕組み、頭部の形状が泡の形成に与える影響、この形態的適応の背景にある生理学についての謎を解明するため、調査を続ける予定です。
住処とする水辺での生き残りを掛けて、ウォーターアノールが永々と進化させてきたであろうこの秘技。小さなダイバーたちは、水面下で「必殺!泡呼吸!」などと唱えつつ、敵が過ぎ去るのを待っているのかも…。
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