
Point
■栄養素の構成比が同じでも、未加工食品よりも超加工食品のほうが多く消費され体重増加に繋がることが判明
■食事のスピード、飲み物の摂取量、タンパク質の量が要因か
■便利さや安さという点から、超加工食品を選ぶ人は多い
中身が同じだから良いってもんじゃない。
たとえ炭水化物・脂肪・糖分・塩分・熱量の構成比が同じであっても、人々が未加工食品よりも超加工食品を多く消費し、結果的に体重増加につながりやすいことが明らかになった。
食習慣の調査には色んな要素が関係するため、直接的な因果関係を証明するのはけっこう難しい。そこで今回行われたのが、超加工食品と未加工食品の間のカロリー消費と体重増加の違いを直接的に調べるランダム化比較試験だ。
アメリカ国立衛生研究所 (NIH) のケヴィン・ホール氏らによる論文が、雑誌「Cell Metabolism」に掲載されている。
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(19)30248-7
超加工食品で摂取カロリー・体重・体脂肪のすべてが増加
試験には、20名の健康なボランティアが参加した。彼らは、NIHの施設に1ヶ月間入院し、2週間超加工食品または未加工食品から成る食事を与えられた後、次の2週間はそれを入れ替えて食事を与えられた。
被験者は1日3回の食事の他に、水と超加工食品か未加工食品をいつでも摂ることが許された。彼らは好きなだけ食べてよいと指示され、研究チームはその食事量を計測した。
2種類の食事の開発には、加工の程度と目的に応じて食品を分類するNOVA食品分類システムが用いられた。たとえば、超加工食品から成る朝食の献立の例は、ハニーナッツチェリオなどのシリアル、食物繊維を加えた牛乳、袋に入ったブルーベリーマフィン、マーガリンが挙げられる。

これに対して、未加工食品から成る朝食の典型は、ギリシャヨーグルト、イチゴ、バナナ、クルミ、塩、オリーブオイル、レモン汁をかけたリンゴのスライスでできたパフェなどだ。
被験者はみな、どちらの食事も美味しく、満腹感を満たすものだったと報告しているため、食事の好みは影響していないはずである。
その結果、被験者が超加工食品を摂取した2週間は、未加工食品を摂取した2週間よりも、1日の摂取カロリーが平均で508キロカロリー上回ることが判明。また、前者は体重が平均で約0.9キロ増加し、反対に後者は平均で約0.9キロ減少した。体脂肪も同様で、前者は増えたが、後者は減った。

また、被験者の代謝を調べたところ、超加工食品を摂取した期間は、未加工食品を摂取した期間よりも、被験者は多くのエネルギーを消費していた。問題は、摂取カロリーが、消費量を上回っていたことだ。