Point
■子どもへの読み聞かせを頻繁に行う人は、過度に厳しいしつけに陥りにくいことが判明
■親子での読書の時間の共有は、子どもの落ち着きのなさや乱暴な行動の減少にも繋がる
■親子での読書を通じて子どもの感情が安定し、問題行動が減ることで、親の厳しいしつけが減るのかもしれない
読み聞かせは子のためならず?
子どもへの読み聞かせを頻繁に行う人は、過度に厳しいしつけに陥りにくいことが明らかになった。また子どものほうも、「落ち着きがない・乱暴な行動をとる」などの傾向が少なくなるとのこと。良いことづくしだ。
米ラトガース大学医学部の研究チームによる論文が、「Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics」に掲載されている。
https://journals.lww.com/jrnldbp/Abstract/publishahead/Early_Shared_Reading_Is_Associated_with_Less_Harsh.99199.aspx
読み聞かせがもたらす2年越しの効果
研究チームは、米国内の20都市に住む母子2,165組から集めたデータを分析。母親たちは、1〜3歳の子どもに対し読み聞かせを行う頻度を回答した。
2年後、母親たちは再度インタビューを受け、子どもの行動に対する厳しいしつけを、身体的・心理的の両方においてどれくらいの頻度で行うかを答えた。親のうつ傾向や経済的困難といった要因は、過度に厳しいしつけや子どもの破壊的な行動に繋がる可能性があるため、調整が加えられた。
その結果、子どもが1歳の頃に頻繁に読み聞かせをすると、3歳になった時に厳しすぎるしつけに陥りにくく、また子どもが3歳の頃に頻繁に読み聞かせをした場合も同様に、5歳になった時に厳しすぎるしつけに陥りにくいことが判明した。2年越しでの効果である。
親と子の絆や信頼関係の基礎が幼児期までに醸成されることを踏まえれば、1〜3歳時点における親子での読書は、子どもの生涯を通じて影響を与えるといってもよさそうだ。幼い脳は、スポンジのように周囲の物事をぐんぐん吸収し、その人物の根っこを作る。