Point
■地球温暖化を止める方法として、地球規模で気候を操作する「ジオエンジニアリング」が研究されている
■ジオエンジニアリングには「エアロゾル」という特殊なチリを上空に巻くことで、太陽光をブロックする方法がある
■しかしエアロゾルによるチリが大気の流れで意図しない地域に流れると、国家間の紛争に繋がる潜在的な危険性がある
地球温暖化は今も刻一刻と、その被害を増している。
すでに昨年の地球平均気温はこれまでで4番目の高さ、そして海水温度は史上最高を記録している。もはや個人が意識を変えるだけでは足りない域だ。
そこで研究者たちが考えているのが、「ジオエンジニアリング(地球工学)」という解決策である。これは端的に言えば、地球の気候を人為的に操って変化させる手法のことだ。
ところが専門家たちの間ではジオエンジニアリングが国家間の紛争を、ひいては第三次世界大戦を引き起こす可能性があるとして懸念されている。
温暖化防止策が戦争を引き起こすとは、一体どういうなのだろうか。
気候をハックする「ジオエンジニアリング」とは?
ジオエンジニアリングは人工降雨のような局所的手段ではなく、地球全体に影響を与える方法である。その手法の1つとして現在研究が進められているのが「太陽光のブロッキング」だ。
これは地表に達する太陽光を遮って、反対に熱を宇宙に逃しやすくする方法である。具体的には、「エアロゾル」と呼ばれる特殊なチリを高度20〜30kmの成層圏に散布する。
こうして上空に人工的な雲を作ることで太陽光を遮り、地表を冷やすことが可能になる。すでに人類は地球規模で気候をハッキングするというSF的技術が実現するところまできているのだ。