チョウの翅も傷なく剥がせる
研究チームはエピフラムの性質を再現するために「ヒドロゲル」という水分を多く含んだポリマーを使用した。ヒドロゲルのおよそ90%は水分であるため、湿潤な状態では粘着性がまったくない。
ところが一度乾燥すると、強力な接着効果を発揮する。
最初に液体状であることにより、接着面の微細なひび割れや凹凸にも浸透し、隙間なく接着することができるのだ。さらに乾燥した接着剤に少量の水を加えるだけで、簡単に剥がす工程もしっかり再現された。
実験ではヒドロゲルを使ってチョウの翅をくっつけた後、水を与えることで傷なく綺麗に剥がすことが出来ている。しかしヒドロゲルの固形化は、空気中で自然乾燥させるか熱を加えるかして行われる一方で、接着剤を剥がすには水を使う以外に方法はない。
やはり雨に濡れることで粘着性がなくなるのは大きな弱点でもあり、乾燥した地域でしか役立たない可能性もある。その点に関してYang氏は「熱や電気を加えることで軟化するような同様の物質を探しているところだ」と話している。
今後の進化を期待して、店頭にカタツムリ式セメダインが並ぶ日を心待ちにしておこう。