視点が変われば「現象」も変わる
また月の半分は常に太陽に照らされているため、月相が発生している。しかし地球から見て月と太陽の方向が一直線に並ぶとき、月に反射した太陽光が地球に届かなくなる。こうして暗く見えなくなった月を「新月」と呼ぶ。
しかし一方で月面上の観察者は、地球が太陽に照らされることでフル・ムーンならぬフル・アースを見ることができるそうだ。
さらにニコルソン教授は「もし月に住んでいたら、地球は月よりずっと大きいので日食が見やすくなる」と指摘する。地球の直径は月のおよそ4倍におよんでいる。
ただ少し複雑になるが、この場合、地球視点での「月食」が月面では「日食」に当たる。月食とは太陽と月の間に地球が割り込むことで、地球の影が月にかかり月面が欠けて見える現象である。
しかしこれは月面上にいると地球が太陽を覆うことになるので、月からは太陽が欠けて見えたり、あるいは全く見えなくなったりするわけだ。この現象は月面上にいると、年に2〜3回起こるという。
天体の全体的な動きは何も変わらないが、視点が変われば見え方も大きく変わるのだ。なんだか奥が深い。