Point
■NASAの月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」の撮影した画像データから月着陸時の主観映像を完全再現
■アームストロング船長が着陸船イーグルの船窓から見た景色は映像記録として残されていなかった
■着陸前3分間の映像を完全再現しており、実際のアームストロング本人の音声とシンクロさせている
アポロ11号が月面着陸してから、今年でちょうど50年を迎える。
月面着陸に関する映像は、アームストロング船長が月面に一歩を踏み出す様子やアメリカ国旗を月に立てる様子が有名ものとして残されている。しかしこれまで着陸船イーグルの窓からアームストロング船長が見たであろう景色は誰も目にすることができなかった。
これはイーグル機の船窓が小さく、船内に取り付けられたムービーカメラのアングルも狭かったため、着陸時にアームストロングが見た景色は記録されていなかったのだ。
しかし今回、NASAの「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」の協力により、アームストロング船長が月着陸時に目にしたであろう映像を再現することに成功した。
その映像がこちらだ。
映像は着陸時に録音された実際のアームストロングの声とシンクロされている。
LROはNASAの所有する月周回無人衛星で、2009年から搭載されたカメラ(LROC)により月表面の撮影を行なっている。同年7月11日〜15日にかけては、アポロ11号が着陸した付近を撮影することにも成功している。
研究チームのマーク・ロビンソン氏(アリゾナ州立大学)は「当時のイーグル機の軌道情報と月面の地形情報、そしてLROCにより収集された画像データを組み合わせて、着陸前最後の3分間を忠実に再現した」と話す。
映像内ではイーグルに搭載された自動照準器が幅620フィート(190メートル)のクレーターを捉えている様子が再現されている。その後アームストロング船長がクレーターを確認して、安全に着陸できる地点を探して手動で水平飛行に入る旨を伝える音声と見事にシンクロしている。
50年も前にこんな壮大な景色を目にしても冷静さを貫いたアームストロング船長はやはりすごい。