人間のアルビノの視覚障害研究にも貢献
この方法は予想以上の成功を収めました。
研究チームは、皮膚、目、毛髪の色素を作り出す働きを持つ酵素の遺伝子を編集。この遺伝子の働きを止めたところ、色素は消え、アルビノのトカゲが誕生したのです。
研究チームは初め、孵化前の卵にCRSPRを注入したため、母親から引き継いだDNAの遺伝子編集のみが行われるものと予測していました。ところが実際CRISPRによって編集されたのは、母親と父親の両方のDNAでした。
アルビノのトカゲは、アルビノの人々が持つ視覚障害の研究のためのモデル組織として使用することができます。アルビノの人は中心窩と呼ばれる目のくぼみが欠落しているか、未発達なために、視力が弱いことがあるのです。
ネズミには中心窩がありませんが、昆虫を捕まえるために高い視力を必要とするトカゲは中心窩を持っています。
今回の成功は、アルビノの研究だけにとどまらず、その他の遺伝病の遺伝学的ルーツの解明にも役立つ可能性を秘めています。アノールトカゲの多様性を支える遺伝子を理解することは、ヒトのDNA変異が先天異常に繋がる仕組みを理解することに通じるかもしれません。
1万種以上が存在すると言われている爬虫類。私たちに多くのことを教えてくれる存在なのかもしれません。