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暴かれる伝説。滅びの王国「エドム」は聖書の記述通りに存在した

2019.09.20 Friday

Credit:timesofisrael

Point

■旧約聖書『創世記』に登場する「エドム王国」の繁栄年代が、最新の研究により、聖書の記述と一致することが判明

■従来の研究では、紀元前8世紀頃と考えられたが、聖書の記述通り、紀元前10世紀頃に繁栄していた可能性が高い

■紀元前10世紀頃に、エジプト人による介入で「銅製造技術」が格段に飛躍したことが推測される

旧約聖書『創世記』第36章31節に、「エドム王国」と呼ばれる国が登場します。

前6世紀にバビロニア人によって滅ぼされた亡国ですが、これまでの考古学調査では、その始まりは紀元前8世紀後半と考えるのが主流。聖書の記述とはズレがあったのです。

しかし、イスラエル・テルアビブ大学による最新の研究で、エドム王国は紀元前13世紀頃にはすでに存在していた可能性が高く、王国の繁栄時期も聖書に一致することが明らかになりました。

さらに当時のエドム人は、銅製造の優れた技術を誇っていたことも判明しています。その影には、隣国エジプトの存在がありました。

繁栄年代は聖書と一致

エドムはパレスチナの南南東に位置する地域です。聖書によると、エドム人はイスラエルの兄弟民族で、ヤコブの双子の兄エサウの子孫とされています。

現在、この地はイスラエルとヨルダンに広がるアラバ砂漠となっており、ここにエドム王国の遺物であるFaynan遺跡(ヨルダン)やTimna遺跡(イスラエル)が位置しています。

Credit:ja.wikipedia

研究チームは、この遺跡から出土する銅の鉱滓(スラグ)の年代調査を行い、特定された各時代における銅スラグの量を調べました。スラグとは、銅や金属を製錬する際、溶融プロセスで分離していく部分で、いわば金のクズを指します。

排出されるスラグの量が少ないほど、製錬技術が高いと言えるそうです。

画像
Credit:timesofisrael

遺跡から入手された銅スラグを分析した結果、紀元前1300年〜800年にかけて、銅製造の技術が徐々に発展していることが特定されました。技術の発展は、その地に住むエドム王国の発展と結びつけることができます。

研究主任のErez Ben-Yosef教授は「エドム人は、紀元前12〜11世紀頃という、従来の予想よりもずっと早い段階で繁栄していたと推測される」と指摘しました。

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