エジプト人の介入による技術革命
さらに興味深いのは、紀元前10世紀頃に銅スラグ量の劇的な減少が見られたことでした。つまり、この時期にエドム人の銅製造技術が急激に進化していることを示唆しており、これには明らかに第三者の介入がうかがえます。
研究チームは、この突然の変化を「エジプト人による王国進出がきっかけではないか」と推測しています。
というのも、聖書には、紀元前10世紀の後半に当時のファラオ「シェションク1世」が、聖地エルサレムを占領したという記述が見られます。これはヘブライ語聖書の中でも有名な一節です。
エジプト人の侵入はエドムの崩壊ではなく、技術の飛躍をもたらしたのかもしれません。
この時期のエジプトは、かつての栄華に比べると大幅に弱体化しており、軍事的な力も弱まっていました。それゆえ、エドム人に技術革命をもたらすことはできても、侵略するまでの余力は残されていなかったのでしょう。
非現実的な記述も多い聖書ですが、「ノアの方舟」の大洪水などは昨今数々の証拠が発見されています。聖書の記述が科学的に解明されていくことで、古代の謎が紐解かれていくことに期待しましょう。