Point
■アブに咬まれた牛は、食欲低下と睡眠不足を引き起こし、家畜産業に大ダメージを与える存在として知られる
■家畜牛に「シマウマ柄」のペイントを施すことで、アブの付着率が半数に激減した
■シマウマ柄は、虫の目標着地機能をコントロールする「動体探知システム」を狂わせることができる
現在、家畜から害虫を追い払う方法としては、殺虫剤を多量に散布することが一般的です。しかし殺虫剤使用にはコストもかかり、ときに牛や周囲の環境に害を及ぼすこともあります。
そこで今回、殺虫剤をまったく使わない家畜牛への虫除け法が日本の研究チームにより編み出されました。
それはなんと牛を「シマウマ柄にペイントする」というもの。実験では、この方法によって牛に集まる有害なアブを半数以上も激減させることに成功しています。
「コスト削減」「牛や環境への安全性」「発想の斬新さ」と三拍子そろった、まさに革命的な方法です。
研究の詳細は、10月3日付けで「PLoS ONE」に掲載されています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0223447
牛にとって厄介な「アブ」の存在
アブ(Biting Fly)は主に家畜牛に群がる害虫で、世界中の牧畜業者の悩みのタネです。
アブに咬まれた牛は食欲の低下や睡眠不足を引き起こし、ひいては命を落とすことに繋がります。
さらにアブに狙われる牛は、お互いにひしめき合って群れをなすようになるので、ストレスレベルやケガのリスクも格段に上がります。
アブによる家畜産業への被害は、アメリカで年間およそ22億ドルの経済的損失を抱えるほどです。