Point
■3億年以上前に生息していたタリーモンスターはこれまで脊椎動物と分類されてきたが、実は無脊椎動物である可能性が高いと判明
■これまでメラノソームは脊椎動物の眼にのみ存在すると考えられてきたが、近年の調査で無脊椎動物の眼にも存在することが分かった
■脊椎動物のメラノソームが多くの亜鉛と結合するのに対し、無脊椎動物のメラノソームは銅、とりわけCu+1と多く結合するが、タリーモンスターも同様だった
トゥリモンストゥルム、別名「タリーモンスター」は、3億年以上前に現在のイリノイ州周辺に存在し、海を泳ぎ回っていた体長15センチほどの生物です。
何と言っても目を引くのは、ゲームに登場するような突き出した眼。
3年前に科学者たちは、この謎の生物をヤツメウナギに近い種類の脊椎動物と結論づけました。また、さらに最近になって行われた調査でも、この分類が正しいことが確認されました。
ところが、最近改めて実施された分析結果によると、この分類が誤りだった可能性が高いようです。論文は、雑誌「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されています。
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.1649
眼に含まれるメラノソームに着目
今回の調査は、タリーモンスターの眼に焦点を当てたものです。研究チームは、メラノソームと呼ばれるメラニンを含む細胞小器官に着目しました。メラノソームは、亜鉛や銅などの金属と結合することで、抗酸化剤として機能していると考えられています。
メラノソームは脊椎動物の眼にのみ存在するとこれまで考えられてきたため、同研究チームは2016年の調査で、タリーモンスターがメラノソームを持つことからこれを脊椎動物と分類しました。
ですが近年、マダコやヨーロッパヤリイカといった現存する無脊椎動物の分析を通じて、メラノソームが無脊椎動物の眼にも存在することが明らかになってきました。