- 中国でアルツハイマー病の新薬が承認され、年内に中国国内で流通する予定
- 新薬は海藻に含まれる糖を薬に落とし込んだもので、成分の発見から薬の承認までに20年以上の歳月を要した
- アルツハイマーの「万能薬」ではなく、軽〜中度の患者に効果があるとされる
上海の製薬会社などが開発したアルツハイマー病の新薬「九期一(Oligomannate, GV-971)」が、中国政府によって承認されました。
中国国家薬品監督管理局によれば、この新薬には認知機能改善効果があり、軽〜中度の患者が対象。年内には中国で販売を始める計画とのことです。
新薬の開発に携わった北京協和医院のソン・ジェンシン博士は「長い間暗闇を歩んできましたが、ついにアルツハイマー患者に希望の光が差し込んできました」と語っています。
20年以上にわたる研究が実を結ぶ
Oligomannateの研究は、海藻を定期的に食している高齢者が、アルツハイマーを発症することが比較的少ないといった事実にインスパイアされたものです。
この因果関係に関する調査を始めた研究チームは、1997年にこの現象において重要な役割を果たしていると考えられる、海藻に含まれる糖の特定に成功します。
そこから新薬の開発を始めた彼らですが、まさかこの発見から実際に新薬が承認を受けるまで、実に20年以上の歳月を要するとは夢にも思わなかったことでしょう。
中国科学院上海薬物研究所のゲン・メイユ教授は、昨年中国メディア・上観(シャンハイ・オブザーバー)のインタビューにて「他の研究者は皆、小分子の薬を開発していたのでときどき孤独を感じました。糖(大きな分子構造を持つ)を使うなんて、前代未聞だったのです」と語っています。
現在のところ、アルツハイマーに有効な治療法は存在していません。脳の機能を低下させるこの病は、同じことを繰り返し言ったり、うつ状態になったり、家の近所でも迷子になったりと日常生活に支障をきたすものです。
WHOは2050年までに、世界で1億5000万人の人々がアルツハイマーの診断を受けると予測しており、その1/4以上が中国国内の患者であるとしています。