- 福井県で発見された原始鳥の化石が新種特定される(生息年代は、鳥類の中で始祖鳥に次いで2番目に古い)
- 現生鳥類に特徴的な「尾端骨」をすでに持っており、鳥類進化の歴史を書き換える存在である
福井県立大学・恐竜学研究所は、14日、同県で発見されていた原始鳥の化石が新種であることを発表しました。
この化石は、2013年に、同県勝山市北谷町にある白亜紀前期(1億2000万年前)の地層から発見されたものです。
調査の結果、この原始鳥は、ジュラ紀後期(1億5000万年前)に生息した始祖鳥に次いで2番目に古い鳥類であると判明しています。学名は、発見した土地にあやかり「フクイプテリクス・プリマ(原始的な福井の翼)」と命名されました。
フクイプテリクス・プリマには、現代の鳥類に見られる「尾端骨」がすでに存在し、飛翔に関する進化の歴史を書き換える可能性があります。
研究の詳細は、11月14日付けで「Communications Biology」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s42003-019-0639-4?utm_source=commission_junction&utm_medium=affiliate
鳥類進化の歴史を塗り替える大発見
フクイプテリクス・プリマの化石は、3次元的に綺麗に保存されており、全長はハトほどのサイズになります。骨の分析からすると、この個体の年齢は1歳未満であったようです。
発見された場所は、当時、河川であったことから、白亜紀の鳥類がすでに森以外の環境に適応できていたことが推測されます。
鳥類は、ジュラ紀後期の始祖鳥の誕生以来、急速に多様化し、次の白亜紀前期には60種以上に増えました。その化石の9割は、現在の中国東北部で見つかっていますが、フクイプテリクス・プリマは、そのグループよりも古く、白亜紀最古の鳥類であることが分かっています。
最も興味深いのは、フクイプテリクス・プリマにすでに「尾端骨」が存在したことです。
尾端骨は、脊柱の端っこに位置し、尾羽を支える役割を持ちます。従来の見解では、原始鳥の長い尾羽が、進化とともに徐々に短くなって、現在の尾端骨になったと推測されていました。
飛翔能力を高めるために長い尾羽を無くして、尾端骨に変えたという考えです。
ところが、フクイプテリクス・プリマは、中国で発見された白亜紀の原始鳥(長い尾を持ち、尾端骨がない)より以前に生きていたことが分かっています。
つまり、鳥類における長い尾の消失と尾端骨の出現は、飛翔能力への適応に関係ないことを示しているのです。
日本生まれの最古の鳥は、鳥類の歴史を塗り替える特別な存在なのかもしれません。