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ストレスを感じた植物は「超音波の悲鳴」をあげる

2019.12.09 Monday

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©石塚千尋/講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
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  • トマトなどの植物は、ストレスを受けると可聴域外で音波を発していることがわかった
  • 昆虫や動物は、5m離れた場所でもその音を聞いて反応している可能性もある
  • 植物のストレスによる悲鳴を検出できるようになれば、精密農業の分野に改革を起こせる可能性がある

ファンタジーの世界には、マンドラゴラという悲鳴をあげる植物がいますが、どうやら現実の植物たちもストレスを受けると、人間には聴き取れない超音波で悲鳴を上げていたようです。

イスラエルのテルアビブ大学の研究者Itzhak Khait教授率いるチームの研究によると、トマトやタバコの木(ナス科の植物)は水不足によるストレスを受けたり、茎が切断されたりすると、人間には聴き取れない周波数の音を出すというのです。

「この発見は、沈黙していると思われていた植物に対する考えを変えるかもしれない」と研究チームは語っています。

この研究論文は、現在は未査読の状況で、生物学関連のプレプリントサーバー「bioRxiv(バイオアーカイヴ)」にて公開されています。

Plants emit informative airborne sounds under stress
https://doi.org/10.1101/507590

植物の悲鳴

植物はストレスを受けた場合、色や匂い、形状などに変化が現れることはよく知られています。

そのため、あえて音を発しているという部分に着目して研究されたことはありませんでした。しかし、植物以外の周囲の生き物たちは基本的に音を発する能力を有しており、また音に反応してその影響を受けます。

そこで今回の研究者たちは、「植物が音を放射する能力を持っていて、周囲の動物や植物へ影響を与えている可能性はないか」と考え調査を行ったのです。

調査されたのはトマトとタバコの植物。タバコの植物は一般にあまり馴染みのあるものではありませんが、これはナス科の植物です。

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タバコ畑。/Credit:Ken Hammond/Wikipedia Commons

研究では、まず音響室内に置かれた植物に2つの指向性マイクを向けて調査されました。

マイクを2つ使ったのは、電気ノイズの音と区別するため、また植物間での干渉による音の誤検出をなくすためです。

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音の検出環境。音響ボックスの中で2つのマイクを使い検出されている。/Credit:Itzhak Khait

植物はそれぞれ異なる状態が設定されていました。この調査の結果、2つの状態の植物が明らかに他の植物より多くの音を発していることがわかりました。

それは乾燥状態(干ばつのストレス)と切断状態の植物です。

次ページどうやって音を出すのか?

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