- タイガーモスの一種は不味い自分の体を食べさせることで、捕食者の食欲を抑えて種を守ることがわかった
- 捕食者が嫌がる化学物質をタイガーモスは自分で作ることができる
ウェイクフォレスト大学のNicolas J. Dowdy氏らが、捕食者から逃げずに、不味くなることで淘汰を生き残る蛾がいることを発見しました。
自らの生き残りと遺伝子の継承を優先させる動物の世界では、自分が食べられることを前提とした生存戦略は珍しいといえます。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fevo.2019.00480/full
捕食者から逃げないという選択
通常、コウモリが生息する地域の蛾は、コウモリの発する超音波を感知して、捕食から逃れようとする回避行動を行うことが知られています。
しかしタイガーモスと呼ばれる蛾の何種かは、コウモリの超音波を感知しても、逃げようとはせず、ノンビリと飛ぶだけ。まるで食べてくれといわんばかりです。
そして奇妙な行動を取るのはタイガーモスだけではありませんでした。
コウモリのほうでも、平坦な飛行を行うタイガーモスが格好の標的であるにもかかわらず、積極的に食べようとはしなかったのです。
Nicolas J. Dowdy氏らに実験チームよってタイガーモスを口に放り込まれた場合でも、コウモリは直ぐに吐き出してしまったとのこと。
実験では、複数種類の蛾についても調べられました。結果、コウモリが吐き出す頻度が高い蛾であるほど、その蛾は回避行動について無頓着であり、コウモリが近づいても平然としていたのです。