ラットによるカジノ実験
ドーパミン中毒が人を不幸にすることを証明する、1つの実験が行われました。
ブリティッシュコロンビア大学の研究チームが、「ラットのためのカジノ」を作成。このカジノには4つのボタンが用意されており、ボタンを押すことで甘いおやつが貰えるようになっています。
それぞれのボタンには確率が設定されており、当選しておやつを貰えることもあれば、はずれて何も貰えないこともあります。確率は様々で「ハイリスク、ハイリターン」のボタンもあれば、「ローリスク、ローリターン」のボタンも用意されています。
通常の状態では、ラットたちは「ハイリスク、ハイリターン」を避け、確実におやつを得られるボタンを選び続けました。ラットたちにも、自分に利益をもたらすための思考力があると分かりますね。
続いて、カジノのように、ボタンに音や光の演出を加えるようにしました。大当たりしたときには、通常の当たりより派手な音や光が加わるようになっているのです。おやつの量は変わりませんが、スロットマシンやパチンコのように、より興奮や期待を誘うようになったのです。
演出と刺激が加わった途端、ラットたちの行動に大きな変化が生じました。これまでのように、確実におやつが貰えるボタンではなく、「ハイリスク、ハイリターン」のボタンを選ぶようになったのです。
ブリティッシュコロンビア大学心理学部のマイケル・M・バラスとキャサリン・A・ウィンスタンリーはこの研究結果について、次のように結論しています。
「要約すると、これらの実験データは、刺激がある時の方が、ラットたちは不利益かつハイリスクな選択をすることが多いと証明している」
さらに、ラットにドーパミンの影響を受けやすくする薬を与える事で、この傾向が強まった事も報告されています。
この実験は、「期待させる」ための強い刺激を受け続けることによりドーパミン中毒になること、さらに中毒者は不利益を被っても、「期待させる」遊びがやめられないことを示しています。