- トランスジェンダーが遺伝子によって決まることが明らかになった
- 性別は「Y」染色体のあるなしだけではなく、複数の遺伝子で決定される
心と体の性別が一致しないトランスジェンダーは、これまで「胎児期に子宮内で浴びるホルモンの異常」や「思春期の環境」に要因があるとされ、遺伝的な研究は行われていませんでした。
しかし近年になって、トランスジェンダー本人の遺伝的な要因に関する研究も行われるようになっています。
既存の研究では再現性などに問題があり十分とは言えませんでしたが、今回の研究で初めて、トランスジェンダーの原因が先天的な脳の遺伝子にあることが判明しました。
本研究によってトランスジェンダーの遺伝的なユニークさが認知され、一層の理解が進むと考えられます。
研究結果はオーガスタ大学のJ・グラハム・タイゼン氏らによってまとめられ、2019年12月27日に学術雑誌「nature」のSCIENTIFIC REPORTSに掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-53500-y
トランスジェンダーは脳の遺伝子に変異がみられた
研究ではまず、30人のトランスジェンダーの男女(生物学的な)からDNAが採取され、非トランスジェンダーの人間との違いが調べられました。
DNAの比較にあたっては、エクソソームシーケンスと言われる、遺伝子のエクソン領域(タンパク質をコードしている部分)を濃縮して解読する方法が行われ、30人ぶんのDNAを素早く読み解くことができました。
結果、トランスジェンダーは、脳内のエストロゲン伝達経路に関与する、19個のDNAが21種類の変異(重複あり)をしていることがわかりました。エストロゲンは女性ホルモンとして知られています。