- シャコのパンチ力は、水中より抵抗力が弱いにも関わらず、大気中で弱まることが判明
- 空振りで自分の関節を傷めないようにパンチ力を落としている可能性が高い
主に海生の甲殻類であるシャコ(Mantis shrimp)は、「地上最強のハードパンチャー」と言われています。
人の握りこぶしほどのサイズながら、威力・スピードともに他の生物の追随を許しません。
プロボクサーのパンチスピードが平均時速30〜50キロなのに対し、モンハナシャコは80キロ。パンチ力も折り紙つきで、不用意に触ろうとしたダイバーの指を折ったという話があるほどです。
もし彼らが人と同じサイズなら、おそらくワンパンでビルの壁に風穴をあけてしまうでしょう。
水中でこれほどの威力とスピードなのですから、抵抗のない空気中ならば、さらにパンチ力が上がることが予想されます。
ところが今回、アメリカ・ミネソタ大学が、空気中でのシャコのパンチ力を計測したところ、水中時より大幅に弱まることが判明したのです。
その理由には、地上最強ならではの理由が隠されていました。
研究の詳細は、2月25日付けで「Journal of Experimental Biology」に掲載されています。
https://jeb.biologists.org/content/223/4/jeb208678
シャコの驚異的なパンチ力
シャコのパンチは、バネ仕掛けになっており、弓矢のように力を極限までためて一気に放ちます。パンチスタイルは、顔の下で折りたたまれた両腕を同時に放つというものです。
これで獲物となるカニを失神させたり、貝の堅い殻を割ったりします。
下は、シャコのパンチをスローモーションで撮影した映像です(今回の実験で撮影されたものではありません)。
実はシャコのパンチは、カニや貝の殻にとどまらず、薄いガラスまでもぶち割ることができるのです。