- 恐竜の軟骨化石からDNAとタンパク質が検出された
- DNAとタンパク質は予想よりながく構造が保てる可能性がある
映画「ジュラシックパーク」に登場する恐竜たちは、琥珀の中に封じられた「恐竜の血を吸った蚊」から抽出したDNAを用いることで復活を果たしました。
しかし今回、国際的な研究チームによって7500万年前のヒパクロサウルスの化石から直接、DNAとタンパク質を検出することに成功しました。
恐竜の化石から汚染のないDNAとタンパク質が発見されたのは初めてです。
今まで検出不可能とされてきた恐竜のDNAとタンパク質を、研究者はどのようにして発見したのでしょうか?
研究結果はノースカロライナ州立大学のアリダ・M・バイユール氏らによってまとめられ、1月12日に学術雑誌「National Science Review」に掲載されました。
https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwz206/5762999
研究者たちは軟骨化石に目をつけた
バイユール氏らは以前より、化石に保存された恐竜のDNAを探し求めてきました。
しかしDNAの半減期は512年です。計算上、680万年で完全に分解されてしまいます。
また細菌などによる生物汚染に化石が晒された場合には、さらに検出は困難になります。
そのため、これまで化石から発見された最古のDNAは70万年前の馬の先祖からでであり、最古のタンパク質は170万年前のサイの先祖とされてきました。
しかしバイユール氏らは、特定の条件下ならば、DNAやタンパク質は限界を超えて構造を保てると考えました。
そこでバイユール氏らは1980年代に発見され、永らく保管されてきた、生まれたての幼い恐竜の後頭部の頭蓋骨に目を付けました。
この部分の骨は生まれた直後は軟骨であり、成長と共に硬い骨に変っていきます。
軟骨の細胞は生きている一方で、骨になった細胞は死んでしまいます。
そのため幼い恐竜では、軟骨細胞の多くが骨になる準備のために「特殊な死にかけ」の状態にあったのです。
バイユール氏らはこの特殊な状態が酸素濃度やミネラル濃度の差をうみ、骨とは異なる化石化の過程をたどらせ、結果として常識外れな保存を可能にすると考えました。