- 太陽系の端で、新たに139個の小惑星が見つかった
- 暗黒エネルギーの調査は、遠くに位置する識別が困難だった惑星の発見に役立った
- 現在進行している調査によって、さらに数百個もの惑星が見つかるかもしれない
太陽系には人間が観測できていない惑星がたくさんあります。特に、海王星よりも遠い位置にある太陽系外縁天体(TNO:trans-Neptunian objects)は発見しづらいものです。
太陽と地球の距離は「1天文単位(約1億5000万km)」とされており、「1au」と表記します。太陽から海王星までは約30auです。
TNOは地球と同じように太陽の周りを周回していますが、30au(45億km)以上離れた宇宙空間に点在していることになります。
当然、反射光も微量であり、発見が困難なだけでなく、他の天体(恒星、銀河、超新星)と見分けることも難しいのです。
しかし、最近、米国ペンシルベニア大学の物理学者兼天文学者のゲイリー・バースタイン教授らによって、100個以上の新たなTNOの発見が報告されました。
これらの新しい惑星の発見には、暗黒エネルギーの調査プロジェクトが役立ったようです。
報告の詳細は3月10日、「The Astrophysical Journal Supplement Series」に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4365/ab6bd8
暗黒エネルギーサーベイ(DES)の思わぬ副産物
暗黒エネルギーサーベイ(DES:Dark Energy Survey)とは、宇宙を拡張させている暗黒エネルギーの謎を解明するための国際研究プロジェクトです。
DESは2013年8月から2019年1月まで行われ、現在では終了しています。
このプロジェクトでは、宇宙の膨張を計算するために、南天の5年半分の超新星や銀河団などの様々な天体と現象のデータを収集し、研究していました。
本来の目的とは異なりますが、DESによる調査の深さや精度の高さは、TNOを含む遠方の天体を発見するのに役立つことが分かりました。
この利点を生かし、バースタイン教授らの研究チームは、DESによって取得した最初の4年間のデータを分析。
その結果、316個のTNOを識別し、その内の139個はまったく新しいものだと判明したのです。