加速度はウサイン・ボルトの100倍以上!
さらにウミアメンボは、体から撥水効果を持つワックス状物質を分泌していました。
それを体表面にコーティングすることで、体が水を吸わないようにしていたのです。
また、静止状態において、水面に接している脚の面積は、全体の5%以下にとどまっていました。
移動のメカニズムに関しては、水面上を歩くというレベルを超えて、空中をホバリングする形に近いことが分かっています。
ウミアメンボは、水面をトランポリンのような跳躍台として使い、巧みに飛び跳ねていました。それから、柔軟な脚を用いて、後退移動や方向転換もラクラクとこなしています。
さらに、ウミアメンボの凄さは、それだけにとどまりません。
彼らの一番の強みは俊敏性にあり、加速度を計算してみると、なんと400m/s2(メートル毎秒・毎秒)に達していたのです。
1m/s2は、1秒ごとに1メートル毎秒ずつ加速することを表します。あの人類最速のウサイン・ボルトですら約3m/s2ですから、ウミアメンボの恐ろしさが垣間見えます。
ただし、これはウミアメンボの小さなサイズを考慮した上での俊敏性なので、実際の競争ではボルトの圧勝に終わるでしょう。
それでもウミアメンボは、独自の防水性と俊敏性によって、過酷な海を生き抜いています。
この他にも、小さな体を生かして天敵が入り込めない隙間に隠れたり、岩場の影を利用して太陽光の直射を避けたりと、色々なテクニックを使っているでしょう。
力は弱くても、自分の強みを活かすことで力強く生きているのです。
研究の詳細は、5月8日付けで「Scientific Reports」に掲載されました。