2Dの亜光速自転車は最接近するときに一番伸びる
研究者は最初に、簡略化された2Dの亜光速自転車の見え方を解明しました。
上の図に示した2D自転車は線で構成されているようにみえますが、実は多くの小さな点の集まりです。
研究者はアインシュタインの相対性理論を組み込んだ仮想空間のなかで、この2D自転車を光速の90%で左から右に向かって移動させました。
観察する人間は、上の図のように自転車の移動方向とはズレて配置されています。
シミュレーションを行った結果、亜光速自転車は上の図のようにみえることがわかりました。
自転車は「みかけ」の接近速度が超光速になる接近時に前後に伸びてみえ、遠ざかるにつれて、前輪と後輪の幅が狭くみえるようになります。
このように自転車が伸び縮みして見えるのは、同じ時間にオブジェクトの各部位を「同時にみる」という行為が、原理的に不可能だからです。
私たちがものを「みる」とき、映像はオブジェクトが同時に放出した光子ではなく、同時に到着する光子によって生成されます。したがって、人が見るのは、オブジェクトからさまざまな時間に発生する、一緒に編まれた光子のパッチワークだったのです。
さらに、私たち人間には2つの目があり、厳密に言えば光は右目と左目に異なるタイミングで到達します。
そのため脳の認識力は別として、右目と左目に到達する光の時間差を考慮した場合は、上の図のように自転車がダブって見えます。