数グラムでも形成可能! 原始ブラックホールとは?
科学者たちの間で「プラネット・ナイン」は原始ブラックホールではないか? という予想が立てられています。
原始ブラックホールとは、71年にホーキング博士が予想した初期宇宙で誕生したブラックホールです。
よく天文学で初期宇宙というと、ビッグバンから数億年といった「どこが初期なの?」というスケールで語られることが多いですが、この理論における初期宇宙はビッグバンから1秒以内を指しています。
この高圧高温の初期宇宙では、大きな密度の揺らぎが生まれたとき、その領域が重力崩壊してブラックホールが生成されていたと考えられるのです。
一般的な認識では、ブラックホールは星の崩壊によって生まれるもので、巨大な質量がなければ形成できない印象があります。
しかし、実際ブラックホールは、ある質量の物体がある半径(サイズ)より小さく収縮した場合形成されるもので、必ずしも巨大な質量がなければ形成できないというわけではありません。
地球質量の場合半径9mm程度、太陽質量なら半径3km程度に圧縮されると、その物質はブラックホールになってしまいます。
このある質量の物体がブラックホール化する半径が、シュワルツシルト半径です。
現在の宇宙でこれほどの高圧高密度の状態が達成されることはありませんが、ビックバン一秒以内の初期宇宙では、理論上1億分の1kgという質量でもブラックホールが形成可能だったと考えられています。
これが原始ブラックホールです。
ブラックホールは、ホーキング放射(またはホーキング輻射)という現象によって蒸発しています。
そのため、理論上の最小サイズのブラックホールはもう生き残ってはいませんが、地球質量レベルならば、宇宙初期から現代まで安定して存在を保っているだろうと考えられています。
しかし、この惑星質量の原始ブラックホールは理論上の存在で、実際に発見されてはいません。